【読書メモ】『ぼくがいま、死について思うこと』 椎名 誠 (著)

   

不死身の冒険家が死について語る

ぶらりと入った書店で特に目的も無く文庫本のコーナーをうろついていたら思わず買ってしまった本。椎名誠というのは自分にとっては懐かしい名前で、若い頃はたくさん読んだ作家だ。今でもたくさんの著書が書架に並んでるのを見て「まだ現役なのか!」と嬉しくなった。スマホとAmazonのせいで書店なんて来るのは久方ぶりだから、こういうアトランダムな本の選び方の楽しさを忘れていた。

「椎名誠はもう相当な爺さんのはずだけどな」、なんて思ったがそれはそのとおりで、この本を書いた時点で69歳だったようだ。それでもまだ人並み以上の体力を維持していたり、毎日酒を飲んでいたりと相当に頑丈なおっさんだ。もしかしていつまでも死なないんじゃないか?

本書の内容は椎名誠がこれまでしてきた数え切れないほどの旅で見聞きした人の死や葬儀などについてを語るのが大部分を占めているが、幽霊や予知夢などのオカルトな話題にも触れられていて飽きずに読めた。(実は先日読んだジョン・ガイガーの『サードマン』はこの本を読んで興味を持ったのがきっかけ。)

本人はまだ死ぬ気はないようだが、どうやら孫とのかかわりにおいていつか来る自分の死を真剣に意識し始めたような印象を受けた。もう砂漠とかモンゴルとか行かないんだったら『アド・バード』の続編を書いて欲しい。

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